学会長挨拶
  日本インベスター・リレーションズ学会は、「IRに携わる人的ネットワークを構築し、多種多様な領域にわたりIRの体系的整理を行い、IRに関する研究・教育基盤を整えること」を目的として2001年に設立されました。
  設立から8年、日本企業のIRおよびそれに関連した状況は大きく変貌を遂げつつあります。グローバル資本主義の進展に伴い、企業と投資家の対立は先鋭化しており、株主総会における委任状争奪合戦やM&Aをめぐる経営と投資家(ファンド)の対立などのニュースも常態化しつつあります。また会社法や金融商品取引法などの施行を契機として、日本企業の多くは、機関選択や配当に関わる柔軟な権限が与えられる一方で、より厳格な内部統制の構築やディスクロージャー活動が企業サイドに求められるようになっています。
  さらに米国発の金融危機の発生は、企業と投資家との関係をどのように再構築していくべきかという本質的な問題を日本企業に投げかけているようにも見えます。
  このように日本企業のIRに対する期待はより高度化しつつあります。本学会では、会計や経営、法律を専門とする学者、弁護士、日本企業のIRを第一線で支える実務担当者、そうした情報を受け取る証券アナリストやファンドマネージャーなど、実に多様で豊かな経験と知識を持つメンバーから構成されています。多様なバックボーンを持つスペシャリストの知を融合し、昇華し、理論化を目指し、活動を続けています。
  各社のIR担当者はもちろんのこと、会計学、企業金融論、経営学、会社法・金融商品取引法、広報・コミュニケーション論、組織論、マーケティング論などの研究者でIRに関心のある方々、及び株式市場に直接関わりのあるアナリスト・ファンドマネージャーの方々とともに、日本企業のIRをめぐる一連の課題を考えていきたいと考えています。
  今後とも当学会の活動に積極的なご参加・ご支援をいただけますようよろしくお願い申し上げます。

平成21年6月
日本インベスター・リレーションズ学会 会長 伊藤 邦雄


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